オスグッドで長期間苦しんだ症例
患者様:N様(10代・男性・サッカー)

【症状の経過】
はじめはサッカーの練習後に膝の痛みを少し感じる程度であったが、徐々に練習中や練習開始直後からも痛みが生じるようになってきたため、病院を受診。医師からは『オスグッド』と診断され、電気治療とストレッチ指導を受けた。ストレッチを励行したことで、痛みは軽減したものの一時的であり、負荷の高い練習や試合後にはやはり強い痛みを訴えていたため、再度病院を受診。しかし「ストレッチを頑張るしかない」と言われた他、「痛みを感じる内はサッカーを休み、痛みが取れてから再開しましょう」とだけ言われた。
その後、痛みは増減を繰り返し、別の病院を受診しても「痛い内は休む」としか言われず、数ヶ月も思い通りにサッカーができない本人は苦しんでいた。
【Physio院長のもとへ訪れたきっかけ】
チームメイトの保護者から「うちの子が診てもらっている梶谷さんに相談してみたら?」と言われ、その保護者を介して、梶谷先生を紹介してもらった。
【一般的なオスグッドについて】
『オスグッド(正式にはOsgood-Schlatter氏病)』はいわゆる成長期におけるスポーツ障害であり、成長段階にある骨の脆弱な部分が筋肉や腱の牽引力によるストレスを受けた結果、痛みが発症する。そして、その原因は太ももの前の大腿四頭筋の硬さであることが多く、ストレッチが有効であるケースが多い。
しかし、全て大腿四頭筋の硬さが原因とは言えず、柔軟な選手であっても同部位に痛みを生じるケースも少なくない。その点を理解した上で身体や動きをチェックし、本来の原因を特定した中で、治療やセルフエクササイズを指導する必要がある。

【N様のオスグッドと治療方針について】
上述したようにN様の大腿四頭筋は特段“硬い”とは言えず、痛みの直接的な原因ではないと判断しました。別の病院で教わったストレッチは毎日欠かさず実施していたそうなので、原因が別にあることは明白でした。その他の部位の硬さや弱さを評価しつつ、ジョギング・ジャンプ・ストップ・ターンなどの動作確認に加えて、痛みの出る動作、出ない動作を一つ一つチェックし、本来の原因を限局していきました。
その結果、N様の痛みは『膝の使い方』に原因があり、大腿四頭筋に依存した身体動作を呈していました。上記の動作において“着地”や“止まる”、“踏ん張る”といった場合には、大腿四頭筋だけでなく、ハムストリングスや殿筋群等も同時に働かなければ、大腿四頭筋のみに負荷が集中し、オスグッドで痛みを生じる部位へ大きなストレスが加わることとなります。従って、硬さに対するストレッチというよりは、弱さや動作学習に対するエクササイズを中心にプログラムを組み立て、自宅でも取り組んでいただきました。
真面目に取り組む本人の性格もあり、治療開始後6週目には痛みが改善し、8週目には継続するエクササイズを確認した上で、治療卒業となりました。
【N様の保護者より】
痛み始めてから半年近く苦しんでいたのに、1ヶ月ぐらいで練習後の痛みをあまり訴えなくなったことは驚きでした。もっと早く先生に相談できていれば!と思いますが、とにかく本当に感謝しています。