外脛骨障害でなかなか競技復帰できなかった症例
- 痛みの専門院 ―Physio―
- 2023年9月17日
- 読了時間: 3分
患者様:Y様(10代・女性・バスケ)

【症状の経過】
バスケの試合が続いた際に足の内側の痛みを訴え始めた。普段痛みをあまり訴えない子だったため、すぐに病院を受診した。医師からは『外脛骨障害』との診断を受け、電気治療の開始と湿布薬を処方された。なるべく頻度高く電気治療へ通ったものの、一向に改善の兆しは見えず、日常生活においても痛みを感じる程まで悪化してしまったため、バスケはお休みせざるを得なかった。このタイミングで別の病院を受診したり、整骨院へ通ったりした結果、少し改善してきたため、バスケを再開したものの、練習すると必ず痛みが生じてしまい、復帰と離脱を繰り返すような日々を送っていた。
【Physio院長のもとへ訪れたきっかけ】
病院や整骨院を転々としながら治療を続けている中で、『良い先生がいる』という噂を耳にしたので、直接病院を訪ね、梶谷先生のリハビリを希望した。

【外脛骨障害について】
「足の内側の出っ張った部分が痛い」という症状が有痛性外脛骨障害にあたります。
外脛骨は、足の全体的な構造には寄与しない過剰骨であり、通常は存在せず発生頻度は4~21%と言われている。また、その存在自体は特に病的なものではなく、無症候性のものがほとんどである。
しかし、陸上競技やバスケ、サッカーなど、強度の高い運動の影響により外脛骨と舟状骨の間に微細なストレスが繰り返し掛かることで、炎症を引き起こし痛みを伴う状態となってしまう。
発症要因は複数存在するが、扁平足など足のアーチ構造の破綻より起因することが多いと考えられており、その他には捻挫をキッカケに発症するケースもあると考えられている。
【Y様の痛みと治療方針について】
エコー検査上、外脛骨と舟状骨の間に顕著な炎症反応が認められた他、上述の通り、Y様の足の構造もいわゆる『扁平足』傾向にあり、内側のアーチ機能は十分とは言えない状況にありました。痛みの改善を図るために、まずは炎症症状の寛解が最優先課題として考えられたため、物理療法を活用しながら改善を図りました。しかし、それだけではまた炎症を繰り返してしまうため、炎症を引き起こす原因に対してエクササイズなどに取り組み、再発しない足にして行かなければなりません。具体的には、足のアーチ構造を維持するための筋肉が十分に仕事をしていない状況であり、後脛骨筋という筋に依存した状況となっている他、後足部においても筋発揮効率を低下させるアライメントを呈していたため、徒手療法に加えてチューブエクササイズで選択的な筋力強化を図り、さらに足趾への筋力トレーニングも実施しました。
なお、本人は「なるべく練習を休みたくない」とのことでしたが、最初の7日間は休み、その後1週間は50%の参加、その次の1週間で100%参加まで段階的にあげていくスケジュールをご提案させていただきました。これは炎症の状態やそれまでの痛みの経過などを踏まえて、復帰までの最善のプロセスは選手によって異なるため、根拠をもってご提示させていただきます。
【Y様の保護者より】
梶谷先生に言われた通りのスケジュールで本当に痛みなく復帰することができました。それに復帰してからも自宅でのトレーニングは続けていますが、再発することなくできていて驚きです。本当にありがとうございました。