膝が痛くても歩いていい?運動した方がいい?
「膝が痛いときは、なるべく歩かない方がいいですか?」
「筋肉が落ちるから、痛くても歩いた方がいいですか?」
膝の痛みがある方から、よく聞かれる質問です。
膝が痛ければ、できるだけ使わずに休ませた方がいいようにも思えます。
一方で、「運動不足になると筋力が落ちるから、歩いた方がいい」と聞いたことがある方もいると思います。
では、どちらが正しいのでしょうか?
結論から言えば、「膝が痛い=運動してはいけない」ではありません。
しかし、「膝が痛くても我慢して歩いた方がいい」というわけでもありません。
大
切なのは、運動したときと、その後の膝の反応を見ながら考えることです。
変形性膝関節症でも運動は大切
変形性膝関節症の治療というと、「痛い関節を休ませる」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし現在、運動療法は変形性膝関節症に対する重要な治療の一つです。
日本整形外科学会の「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」では、運動療法について、痛みの軽減、身体機能の改善、日常生活機能の改善に有用とされ、実施する事を強く推奨しています。
運動療法には、
・筋力トレーニング
・有酸素運動
・陸上での運動
・水中運動
など、さまざまな方法があります。
つまり、「変形性膝関節症だから動かさない方がいい」とは限りません。

では、膝が痛くても歩いた方がいい?
ここが一番難しいところです。
「運動療法が推奨されている」という話と、「痛くても我慢して、たくさん歩けばいい」という話は同じではありません。
例えば、同じ30分のウォーキングでも、「歩いていると少し違和感はあるけれど、その後は特に変わらない」という人もいれば、「歩いている途中から痛みがどんどん強くなり、帰宅後には膝が腫れてしまう」という人もいます。
この2人に、まったく同じ運動を勧めるのは適切とはいえません。
大切なのは、「何分歩いたか」だけではなく、その運動に膝がどう反応したかを見ることです。
運動中の痛みだけを見ない
ウォーキングや運動をする時、多くの方が気にするのが「運動中に痛かったかどうか」です。
もちろん、それも大切な情報です。しかし、それだけではなく、運動中 → 運動直後 → その日の夜 → 翌日というように、少し長い時間で膝の状態を見てみましょう。
例えば、「歩いているときは大丈夫だったけれど、夜になって膝が腫れてきた」「運動した翌朝、いつもより明らかに歩き始めが痛い」という場合があります。
反対に、「歩き始めは少し痛かったけれど、その後は楽になり、翌日も特に悪化していない」
という場合もあります。
同じ「運動中に痛みがあった」という状態でも、意味は大きく異なります。
「運動量が合っているか」を考えてみましょう
では、自分の運動量が合っているかをどう考えればよいのでしょうか?
一つの方法として、運動前・運動中・運動後・翌日の4つを確認してみてください。
~運動前~
まず、その日の膝の状態を確認します。
いつもより痛みが強くないか。
腫れや熱っぽさがないか。
前日の疲れが残っていないか。
~運動中~
痛みが急激に強くなっていないか。
歩き方が大きく崩れていないか。
「もう少し頑張らないと」と無理をしていないか。
~運動後~
運動前と比べて、明らかに痛みが増えていないか。
膝が腫れてこないか。
普段の生活に支障が出ていないか。
~翌日~
ここも大切です。翌朝になって、「昨日より明らかに痛い」「膝が腫れている」という状態であれば、前日の運動量が今の膝には多かった可能性があります。
運動は、その瞬間だけでなく「その後どうなったか」まで確認する。これを一つの目安にしてみてください。

「たくさん歩く」ことだけが運動ではありません
膝のために運動しようと思うと、「毎日○○歩、歩かなければ」と考えてしまう方もいます。
しかし、ウォーキングだけが運動ではありません。
変形性膝関節症に対する運動療法には、筋力トレーニングや有酸素運動、水中運動など、さまざまな方法があります。
そのため、「長時間歩くと痛いから、運動できない」と考える必要はありません。
例えば、その人の状態によっては、
― 歩く時間を短くする。
― 途中で休憩を入れる。
― 筋力トレーニングを取り入れる。
― 水中で運動する。
など、方法を変えることもできます。
「歩けるか・歩けないか」ではなく、「今の膝にどんな運動なら取り入れられるか」という視点で考えてみましょう。

痛みがあるからといって、ずっと安静にする必要もありません
痛みが出ると、「悪くなるのが怖いから、できるだけ動かさないようにしよう」と考えることがあります。
もちろん、膝の状態によっては一時的に負担を減らした方がよい場合もあります。
しかし、変形性膝関節症に運動療法が推奨されていることを考えると、痛みがあるという理由だけで長期間すべての運動を避ける必要があるとはいえません。
大切なのは、「運動する・しない」の二択にしないこと。
運動の種類、時間、回数、強さなどを調整することができます。0か100かではなく、「今の膝なら、どのくらいならできるだろう?」と考えてみてください。
こんなときは、運動より先に相談を
一方で、いつもの膝痛とは様子が違う場合は注意が必要です。
例えば、
・急に強く腫れてきた
・膝に強い熱感がある
・転倒などの外傷後から強く痛む
・急に体重をかけられなくなった・膝が動かせないほど痛い
・発熱など全身の症状を伴っている
といった場合です。
このような時に、「膝には運動がいいから」と無理にウォーキングを続ける必要はありません。
まず医療機関へ相談し、膝の状態を確認することを考えてください。
「何歩歩けばいい?」より大切なこと
「1日何歩くらい歩けばいいですか?」という質問に対して、すべての人に共通する一つの数字を決めるのは難しいものです。
膝の状態も、筋力も、体力も、普段の活動量も、人によって違うからです。
そこで、「何歩歩いたか」だけではなく、「その運動に膝がどう反応したか」にも目を向けてみてください。
― 運動前はどうだったか。
― 運動中はどうだったか。
― 運動後に腫れなかったか。
― 翌日はどうだったか。
こうした変化を確認することで、自分に合った運動量を考えるヒントになります。
膝が痛くても「できる運動」を探してみましょう
膝が痛いと、動いた方がいいのか。休んだ方がいいのか。迷うと思います。
でも、その二択だけではありません。
膝の状態を確認しながら、運動の種類や量を調整する。という選択肢があります。
変形性膝関節症では運動療法が重要ですが、目的は「痛みに耐えて運動すること」ではありません。
自分の膝の反応を確認しながら、無理なく身体を動かしていくこと。
その視点を持っておくことが大切です。
※この記事は膝の痛みや変形性膝関節症についての一般的な情報を提供するもので、個別の運動量や治療方法を示すものではありません。症状が強い場合や、運動によって痛み・腫れが大きく悪化する場合は、医療機関などで膝の状態について相談してください。