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腰が痛くても動いていい?安静にした方がいい?

2 日前
読了時間: 6分

「腰が痛いから、なるべく動かない方がいい?」

「安静にしているけれど、なかなか良くならない」

「腰痛は動いた方がいいと聞いたけれど、本当に大丈夫?」


腰痛になると、動くべきなのか、休むべきなのか迷うことがあります。

以前は「腰を痛めたら安静」というイメージも強くありました。


しかし現在では、腰痛だからといって長く安静にし続けることが、必ずしも良いとは考えられていません。


一方で、「腰痛は動いた方がいい」=「痛くても我慢して運動した方がいい」ということでもなく、大切なのは「安静」か「運動」かの二択にするのではなく、今の腰の状態に合わせて活動を考えていくことです。


今回は、腰痛と「動くこと」について考えてみましょう。



腰が痛いときは、安静にした方がいい?


腰を痛めると、「動いたらもっと悪くなるのでは?」と思うかもしれません。


もちろん、痛みが強いときに無理をする必要はありません。

しかし、「急性腰痛」について、日本の腰痛診療ガイドラインでは、絶対的な安静よりも活動性を維持する方が有用とされており、疼痛軽減や身体機能の回復、病欠期間などの観点から活動性維持が支持されています。


つまり、腰が痛い→できるだけ動かない→痛みが完全になくなるまで安静と一律に考える必要はないということです。



「活動性を維持する」=「運動する」ではありません


ここは、とても大切です。


「活動性を維持しましょう」と聞くと、ウォーキングをしなければいけない、筋トレをしなければいけない、ストレッチをしなければいけない、と思うかもしれません。


しかし、最初から特別な運動をすることだけが「活動」ではありません。


例えば、

・起きて着替える・家の中を歩く・食事をする・できる範囲で家事をする・仕事や趣味に少しずつ戻るなど、こうした日常生活も立派な「活動」です。


NICE(*)の腰痛ガイドラインでも、セルフマネジメントの一環として、本人の状態や能力に合わせて通常の活動を続けることを勧めています。


*NICE=イギリスの公的機関 National Institute for Health and Care Excellence(国立医療技術評価機構)


腰痛のときにずっと安静にしたり痛みを我慢して無理に動いたりせず、腰の状態に合わせて休むことと動くことのバランスを考える図解

痛みがあるのに動いて大丈夫?


ここで気になるのが「動いたときに痛みが出たら、腰を傷めているのでは?」という疑問です。


痛みは身体からの大切な情報です。

ただし、「痛みが出た=身体の組織が傷ついた・悪化した」と判断できるわけではありません。


だからといって、痛みを無視してよいわけでもないので、重要なのは「痛みが出たかどうか」だけでなく「その後どうなったのか」までを見ることです。



動いていいか迷ったら「4つのタイミング」で確認


これは膝や肩の記事でもお伝えしてきた考え方ですが、腰痛でも役立ちます。


① 動く前

まず、その日の腰の状態を確認します。

・じっとしていても強く痛む?

・昨日より明らかに悪化している?

・脚の症状に変化はない?

・普段とは違う症状はない?

前の記事で紹介したRed flagを疑うような変化がある場合には、「とりあえず運動してみる」より医療機関への相談を考える必要があります。


② 動いているとき

次に、

・どんな動きで痛む?

・どの程度なら動ける?

・動いているうちに楽になる?

・それとも徐々に悪化する?

を確認します。


腰痛があるからといって、すべての動作を避ける必要があるわけではありません。

一方で、強い痛みを我慢して同じ運動を繰り返す必要もありません。


③ 動いた直後

運動や活動が終わったら、

・痛みは落ち着いてくる?

・動く前より強くなっていない?

・動きやすさはどう?

を確認します。


動いている最中だけで「痛かったからダメ」と決めるのではなく、その後の反応まで見ます。


④ その後・翌日

さらに、

・数時間後に強くなっていない?

・夜の痛みはどうだった?

・翌日まで大きく悪化していない?

・普段の生活に影響していない?

と時間を置いて確認します。


もし活動後に症状が大きく悪化し、それが長く残るのであれば、運動の種類・強さ・時間・回数などが、今の状態に合っているかを見直す材料になります。


腰痛があるときに動いてよいかを動く前・動いているとき・動いた直後・その後や翌日の4つのタイミングで確認する方法を示した図解

腰痛の運動に「これだけやればいい」はありません


腰痛について検索すると、「腰痛に効くストレッチ」「この筋肉を鍛えれば腰痛改善」

といった情報もたくさん出てきます。


しかし、腰痛の状態は人によって異なります。

WHOの慢性一次性腰痛ガイドラインでは、運動プログラムは選択肢の一つとして推奨されていますが、同時に身体的・心理的・社会的要因を含め、その人に合わせた包括的な対応が重要とされています。


そのため、「腰痛なら全員この運動」ではなく、

  • 何をすると痛むのか

  • どんな活動ができているのか

  • 何ができなくなっているのか

  • 本人が何に戻りたいのか

まで考えることができれば、とても丁寧な腰痛対策となります。


ウォーキングが合う人もいれば、筋力トレーニングや趣味活動から始める人もいます。

運動の目的も、人によって違いますので、一人一人に合った腰痛対策が重要です。


腰痛の運動を痛む動き・できること・できないこと・活動後の変化・戻りたい活動・生活環境などから総合的に考えることを示した図解

腰痛があっても「できること」に目を向ける


腰痛になると、「できなくなったこと」にどうしても目が向きやすくなります。


しかし、

  • 歩ける。

  • 仕事に行ける。

  • 家事ができる。

  • 昨日より長く座れる。

  • 少しずつ趣味に戻れている。

こうした変化も大切です。


WHOも腰痛のリハビリテーションでは、症状だけでなく、日常生活や仕事、社会参加など本人にとって意味のある活動へ戻ることを重視しています。


痛みがゼロになる事だけをゴールにせず、「できる事が増えているか」にも目を向けましょう。



まとめ

腰痛だからといって、ずっと安静にする必要があるとは限りません。


一方で、「動いた方がいいから、痛くても我慢して運動する」という考え方でもありません。


大切なのは、

  • 今の腰の状態を確認する。

  • できる活動を見つける。

  • 動いているときだけでなく、その後の反応も確認する。

  • 状態に合わせて活動量を調整する。

ということです。


そして、「動くのが怖い」という気持ちが強い場合も、それ自体が腰痛を考えるうえで大切な情報です。「安静」か「運動」かではなく、今できることから少しずつ。


腰痛とうまく付き合いながら、日常生活へ戻っていくことを考えていきましょう。



実際の腰痛では、どう考える?


ここまで3つの記事で、

① 腰痛の原因は一つではない

② Red・Yellow・Greenの3つの視点

③ 安静と活動をどう考えるか

を整理してきました。


ただ、実際の腰痛ではこれらを一つずつ切り離して考えるわけではありません。


次は、Physioで実際にご相談いただいた腰痛の症例を見ながら、症状や経過、身体の状態をどのように考えたのかを紹介します。








※この記事は腰痛についての一般的な情報を提供するもので、個別の運動方法・運動量や治療方法を示すものではありません。排尿・排便の異常、進行する筋力低下、大きな外傷後の腰痛、発熱を伴う腰痛、急激な症状の悪化などがある場合は、医療機関へご相談ください。

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