変形性膝関節症=軟骨のすり減りが痛みの原因?
更新日:9月13日
「レントゲンを見ると、軟骨がすり減っていますね」
「年齢による変形ですね」
膝の痛みで病院を受診し、このような説明を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。
変形性膝関節症では、実際に関節軟骨の変性や摩耗が起こり、関節の隙間が狭くなったり、骨棘と呼ばれる骨の変化がみられたりします。
では、「軟骨がすり減っている」=「それが膝の痛みの原因」と考えてよいのでしょうか?
今回は、変形性膝関節症と「痛み」の関係について考えてみましょう。
そもそも変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症は、単に「軟骨だけの病気」ではありません。
膝関節には、
・関節軟骨
・半月板
・軟骨の下にある骨(軟骨下骨)
・靱帯・滑膜・関節周囲の筋肉
など、さまざまな組織があります。
現在では変形性関節症は、関節軟骨だけではなく、こうした関節全体に変化が生じる疾患として捉えられています。
つまり、「変形性膝関節症=軟骨がすり減る病気」では、少し説明が足りないということです。

軟骨そのものだけで「痛み」を説明できる?
ここが今回、一番知ってほしいところです。
変形性膝関節症では、軟骨の変性や摩耗は重要な変化の一つです。
しかし、膝の痛みには軟骨だけでなく、滑膜炎や骨髄病変などの関与が報告されています。
また、半月板や関節内遊離体などによる機械的な要因が痛みに関係する場合もあります。
そのため、「軟骨がすり減ったから痛い」と、それだけで膝の痛みを説明するのは難しいです。
大切なのは、「膝にどんな変化があるのか」と、「今、実際にどんな症状が出ているのか」
を合わせて考えることです。

レントゲンはとても大切。でも、分からないこともあります
変形性膝関節症の診断では、レントゲン(単純X線)検査が重要です。
レントゲンでは、
・関節の隙間が狭くなっているか
・骨棘ができているか・骨に変化が起きているか
・脚の配列(アライメント)がどうなっているか
などを確認できます。
一方で、レントゲンでは半月板病変、滑膜炎等まで直接確認することはできません。
日本整形外科学会のガイドラインでも、単純X線検査は有用である一方、こうした病変を検出できないことには注意が必要とされています。
必要に応じてMRIや超音波検査などを組み合わせることで、レントゲンとは異なる情報を得られる場合があります。

「変形の程度」と「痛み」は同じものではありません
ここも誤解してほしくないポイントです。
だからといって、「レントゲンの変形と痛みは関係ない」ということでもありません。
実際、ガイドラインではレントゲンでみられる変形の程度や関節裂隙の狭さと、膝痛との関連も報告されています。
つまり、変形だけですべての痛みを説明することもできない。だからといって、変形を無視していいわけでもない。ということです。
ここは白黒で考えないことが大切で、レントゲンの結果も重要な情報の一つ。
そして、
「どこが痛いのか」
「どんな動作で痛いのか」
「腫れや熱感はあるのか」
「どのくらい日常生活に影響しているのか」
といった実際の症状も重要な情報です。
それらを組み合わせて膝の状態を考えていきます。
「年齢だから仕方ない」と諦める必要はありません
変形性膝関節症には加齢も関係します。
しかし、その発症や進行には、加齢だけでなく、肥満などによる力学的負荷、アライメント異常、外傷歴など複数の要因が関係すると考えられています。
ですから、「年齢による変形があります」という説明と、「もう何をしても変わりません」
という話は同じではありません。
レントゲンに写った変形そのものを元通りにすることと、痛みや身体機能、日常生活を改善することも分けて考える必要があります。
「変形しているから仕方ない」と最初から諦めるのではなく、今の膝で何に困っているのかを整理することが大切です。
「膝に水が溜まる」のも軟骨だけの問題?
変形性膝関節症の方から、「膝に水が溜まって、何度か抜いてもらっています」という話を聞くことがあります。
膝の「水」と呼ばれているものは、関節液です。
変形性膝関節症では滑膜炎や関節水症がみられることがあり、ガイドラインでも関節水症や局所の炎症を呈することがある疾患として説明されています。
以前は、「すり減った軟骨の欠片が滑膜を刺激するから水が溜まる」と説明される記事も散見されますが、実際の病態はそれだけで説明できるものではありません。
膝関節の中で起きている炎症など、複数の要素を考える必要があります。
ですから、「水が溜まった」という現象だけを見るのではなく、なぜ関節液が増えているのか、その背景を考えることが重要です。
画像と症状、両方から膝を考えてみましょう
変形性膝関節症について考えるとき、「軟骨がすり減っているか?」だけに注目する必要はありません。
大切なのは、画像では何が起きているのか。どこが痛むのか。どんな動きで痛むのか。腫れなどの症状はあるのか。日常生活で何に困っているのか。こうした情報を合わせて考えることです。
レントゲン、症状、身体の動きなど、全てが重要であり、一つの情報だけで「これが痛みの原因」と決めつけないこと。それが、自分の膝の状態を考えるうえで大切なポイントです。
では、膝が痛いときは「安静」にした方がいい?
ここまで読んで、「じゃあ、膝が痛いときはできるだけ動かさない方がいいの?」と思った方もいるかもしれません。
変形性膝関節症では、運動療法も重要な治療の一つです。
ただし、「運動した方がいい」=「痛くても我慢して歩けばいい」という意味ではありません。
では、膝が痛いときはどの程度動いていいのでしょうか?
次の記事では、「膝が痛くても歩いていい?運動した方がいい?」について考えてみましょう。
次の記事 ―
※この記事は変形性膝関節症についての一般的な情報を提供するもので、個別の診断や治療方針を示すものではありません。急激な腫れ・強い熱感・発熱、外傷後の強い痛み、急に体重をかけられなくなった場合などは、医療機関への相談をご検討ください。